組子の一つ一つの材料は全て木を割いて、長さ、高さ、厚みを正確に加工したものです。そして組子が組子と言われる所以の最大の要因はその部材が寸分たがわず超ピンポイントで重なり合うことです。この交差する部分はそれぞれにかき込みを入れてガッチリとかみ合うようにします。ここに職人の本領発揮ともいえる匠の技の出番です。
この加工された部材は厚みがないので曲がりやすく、すーっと通った1本の線にするためにはきつすぎてもゆるすぎてもいけません。阿吽の呼吸で理路整然と組み合っていかなければならないのです。
鏡に映したような精緻な幾何学模様。機械ではなく人の手で出来上がることそして日本人の凄さを改めて感じる次第です。

組子、専用鉋4

数種類の組子作り用の鉋

ささいな誤差が最大の誤差

愛し合う二人はまるで磁石のように常に引き寄せ合い、少々相手に気になるところがあっても突き進む、恋は盲目ですね。しかし破局をむかえた時、大抵「二人の間に距離が」となります。途中で妥協するなり修正すれば違った結果になったはずですが。そこで組子ですがもう皆さんお判りのように、組子には妥協する余地はないし、まして終わりよければ、は絶対にありません。最初のほんのわずかな違いが距離に比例してだんだん大きくなるので、結局、オーマイゴッド!お手上げです。

組子、専用鉋3
木彫り
組子、葉っぱ3
組子、葉っぱ
組子、葉っぱ2
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組 子

それぞれに溝を彫り、かみあわせていきますがそこに余分な隙間はなく、まさにミクロの世界。
掘る溝も少しでも角度が違うと歪みが生じる。それと薄い材料にかき込むのでもろくなる。しっかりとした強度を保つためにはそれぞれがガッチリと組み合わなければならない。
この技術は約300年程前に完成したらしいのでホント頭が下がります。
組子、専用鉋5

刃物調整中の仁田原氏

世界に誇れる技の極致―和の万華鏡

匠のつぶやき

引き違い戸、組子扇

何故、あなたはエベレストを目指すのですか

さて組子のもう一つの部材、華麗な装飾をする葉っぱです。
当然、職人の匠の技ならではなのですが、
そのポイントは、

葉っぱを組込んで完成

組子、完成
組子制作作業
組子イメージ
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材料の準備が整うといよいよ作品の仕上げです。地組の中に葉っぱを組込んでいくのはあたかもジグソーパズルのようですが勿論、精度は比較になりません。作品を完成させるための近道はなく、ただ一個ずつ丁寧にはめ込み地道に頂上を目指すしかないのです。出来上がった壮大な作品を眺める至福の時間を夢見て。

高度な組手

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組子欄間

があります。

縦横に格子状に組む真矩組子
菱形に組んで行く菱物組子
正三角形を組み三本が交差する
三つ組手
最高の地位に当たる四つ組手

組子の基本

そしてこの基本となる地組の中に葉っぱとよばれるパーツを思い思いに組込んで行けば完成なんですが、ところがどっこい、この整然と繰り返す幾何学模様には、見た目はか細い線ですが、実は職人のプライドを一瞬にして粉々にしてしまう厚い壁がひそんでいるんです。

組子は、まずベースとなる大枠の基本形(地組)で決まります。代表的な地組として、

正三角形に組む三つ組手

組子、地組

今回組子について教えて頂いたのは、福岡県大川市で家業の木製建具屋さんを継ぎ、組子作りも30年になられる仁田原さんです。数々の賞も受賞されており、近寄り難い方かなと想像してたんですが意外にも見た目や話し方はものすごく優しく丁寧で「来るものは拒まず」と申しましょうか忙しい中にあっても積極的に説明してくださいました。
感心したのは伝統工芸の職人さんが減り、後継者がいないと言われる現在、こちらは二人の息子さんが二人共組子の修業中ということです。仁田原さんの胸中にある組子に対する情熱、誇り、そして仕上げた作品を見つめるやわらかい眼差しを普段から心に焼き付けていたからではないでしょうか。
仁田原さんが組子作りで語るのは道具です。それは組子作り専用の鉋(かんな)で用途に応じて数種類あり、刃物でありながら想いを形にしてくれる打ち出の小槌のようなものです。
匠曰く、「自分の歯より刃を知り刃を磨くことでしょうねぇ」。
ふところの深い『仁田原ワールド』あなたも是非一度訪れてみませんか。

仁田原建具製作所のホームページはこちら

組子、専用鉋2
組子、専用鉋
衣のページ
組子の組手

昔は家を建てるとなれば、ほぼ大工、左官そして建具屋さんの仕事でした。師匠から弟子へと技が受継がれ職人気質とういう言葉もありました。今は建築材料が多様化し、多くの専門業者がはいったり、例えば大工さん自身も金づちを電気ドライバーに、のこぎりをカッターにと使う道具も変わってきています。残念ながら活躍の場が減ってきてるのです。しかし、それでも体に染み付いた技巧をさらに向上させるため、黙々と自分と向き合って鍛錬しているのも事実です。これぞ職人魂でしょう。
ところでこれらの職人さんたちは本来の仕事と別に芸術家であった事はご存知ですか。建物の装飾の為に、大工さんはノミで彫刻を、左官さんはコテでレリーフをといった具合に。そして今回は建具屋さんの芸術作品のご紹介です。

などとなります。
そしてこれは厚さが1~2mm、高さが1cm未満で場所によって長さが変わる材料を相手に行うわけです。加工は一個ずつではなくある程度の数をまとめてシャクっと削りますが逆にいうと寸法が間違ってたら全て台無しです。

目下修行中の次男

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光と陰が織りなす万葉のアラベスク

♫ 格子戸をくぐり抜け ♬ この曲を知ってる方は続けて「アノコロはよかった」ってつぶやくかも。で、ここに出てくる格子戸、これは昭和の時代を飛び越えて平安時代にまで行き着きます。つまり日本の出入口だったんですね。これを作るのはそう建具屋さんの仕事です。通風、採光、視線のカットを十分に考慮し、季節の変化にも耐えられるよう木を吟味した上で出来上がった一品です。機械が無い時代に緻密な格子の割付を手作業で行ない、そして釘やネジを一切使わず組み上げるのはまさに職人の技でしょう。!格子やその種類についてはこちらへ
さて建具屋さんの芸術品といえば組子です。格子の桟(さん)よりもっと小さくした部材を使って組み上げるもので、障子等の建具には勿論のこと欄間や衝立に使われています。大工さんが木の力強さやその表情をダイナミックに描こうとするのに対し、組子は建具職人が持つ繊細な技を存分に発揮してつくりあげる大木の幽玄な枝葉でしょう。お天道様の居場所によって趣きを変える幾何学模様を見つめていると聖徳太子にさえ逢えるような気がします。

本捻組

組子、本捻組

二重木瓜

二重木瓜

松川菱とんぼ

組子、松川菱とんぼ

菱万字くずし

組子、菱万字くずし

組子職人の美の追求はとどまるところを知らず、組手のパターンは高度に発展していきます。そこには日々自分を追い詰め、妥協を許さない何か厳格な執念があることはいうまでもありません。

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